OUR ALLIANCES

アライアンスで⽬指す未来

海外の一流デザイナー達を唸らせる
KOYORIブランドを支えるモノづくり

Hida Sangyo Co., Ltd.

飛騨産業株式会社 中川 輝彦様
取締役 デザイン室 室長

経済と森づくりの一体化を目指す
匠集団の技術を世界へ発信

飛騨産業は、1300年以上続く「飛騨の匠」の歴史を受け継ぎ、豊富な木材資源、木工技術、そして木を大切に想う風土を背景に1920年に創業しました。1800年代半ばから、大量生産が開始されたヨーロッパの曲木家具に倣い、技術者を育成して曲木家具工場を設立。以来、長きにわたって多くの家具を世に送り出しています。昨今は、森と歩んできた飛騨地方の匠文化を後世につなぐ活動として、人材育成や研究開発など様々な事業を展開しています。

2020年には100周年を迎え、未来へ向けて「人を想う」「時を継ぐ」「技を磨く」「森と歩む」という4つの価値観をものづくりの目標・指針として掲げました。折しも、MGBから新しいブランドプロジェクトのご提案をいただき、海外の一流デザイナーと協働でものづくりを推進するという魅力的なコンセプトに、社長・会長の関心も高く、これはやるしかない!とKOYORIの参画に至りました。マルニ木工の海外部門がMGBとして独立したことは社内でも話題となっていたため、スタッフのプロジェクトへの関心も高く、KOYORIに参画することで、ドメスティックなイメージが強かった飛騨産業の新たな一面を引き出す、またとないチャンスになると期待しました。

KOYORIの製品開発にも、飛騨産業が掲げる4つの価値観は総合的に活かされており、曲木・カービング・接合技術を応用することで独自性の高いアイデアを形にしています。飛騨産業の木工技術はこれまでも高く評価されてきましたが、技術はデザインによって惹起され、より磨かれていくものです。KOYORIに参画し、新しい高度なデザインを形にすることは、飛騨産業の技術力、職人の技量をさらに進化させます。

また、KOYORIが招聘したブルレックやガムフラテージは若手のインハウスデザイナーにとって憧れの的。夢中になって取り組んでいる姿を見ていると、人材育成の面でも、このプロジェクトがモチベーションを引き上げ、やりがいを生む最も効率のよいOJTになっているのが分かります。ベテランの職人も、新しく難しいものづくりにジワジワと士気が高まり、KOYORIのものづくりがもたらす効果を日々感じています。

日本のものづくりは長い歴史の中で育まれ、緻密で丁寧です。MGBなら、このような日本製品の特長や、飛騨産業が未来へ伝えていきたいものづくりの魅力を、世界に発信できると確信しています。これまで、海外デザイナーとの協働はいくつか経験してきましたがPRや販売戦略は大きな課題でした。しかしながらMGBは、KOYORIのローンチをミラノデザインウイークで実現し、ELLE DECOR、CASA BRUTUS、MODERN LIVINGなどのメディアへの露出にも積極的です。プレスリリース、デザイナーとの関係づくり、物流、販路の開拓にも強く、プロのサポート力で支えてくれています。とりわけ、デザイナーをリスペクトすることでモチベーションを高め、素晴らしいアイデアを引き出すコミュニケーションスキルはMGBの真骨頂です。

飛騨産業の仕事は、手にした人が箱を開けた時に、予想を超えるいいものが届いたと思って頂けるようなものづくりを実践することです。そのために、精度のよいモックアップを作り、スピード感をもって伝える、そうした対応が必要不可欠だということをこのプロジェクトで実感しています。

アライアンスという試みは私たちにとっては初めて、まして世界の一流ブランドと肩を並べらえるブランドを目指すということで、力が入るところもありますが、周囲と連携し、引き続き緊張感をもって、お客様の期待に応えるものづくりを実践していきたいと思っています。

飛騨産業は、これまで森と共に歩んできました。4つの価値観の1つ「森と歩む」には、経済と環境の好循環、森づくりと一体となった家具づくりを目指す、という企業理念が込められています。木の節や白太、赤太などの色の違いが尊重される製品づくりなど、木を余すところなく使うためにどんな家具づくりができるか。KOYORIでそれをどのように実現できるかが今後の課題でもあります。日本を代表するブランドとして、KOYORIが世界に浸透するよう、人を想い、時を継ぎ、技を磨き、そして美しく豊かな森の恵みに感謝し、緻密で丁寧なものづくりを地道に続けていきたいと思います。